ごあいさつ

剣持 晋介
偲古庵(しこあん)の’古希僧‘(昭和21年生まれ)、剣持晋介です。
古希を過ぎても門前の小僧を自認しています。
『国立国会図書館』のデジタルコレクションの古典籍という門前ですが、
時折他の門前も訪れます。
実際の仕事場は、東京練馬の住宅街の民家の2階で、書斎に毛が生えたような作業場兼展示室にて孤軍奮闘しています。
伝統技法に囚われないで身近な素材を使って実用本位の和本づくりです。
古典を骨董にせずに身近なものとして“古典再発見”のお手伝いできればと思います。
※国会図書館は平成26年5月にデジタルコレクションの著作権保護期間満了の書籍における自由な複製とその利用を許可しています。
庵であること
東京練馬で町の発明家の様な生活をしてきた小生には、ヤマダ電機、百均ダイソーやホームセンターが町内にあることで大いに助かっています。
そんな住宅街の二階に、庵と呼ぶに相応しい、書斎に毛の生えたような作業場兼展示室が当庵です。
以前からの屋号「オールディーズ ショップ」の意訳のつもりで「偲古庵」としています。二十年近く写真や映像のデジタル化をしてきた流れから‘デジタル’を駆使して古典籍や絵草子などの複製を作るようになったのですが、この「偲古庵」の屋号が、名は体を表す伝で身の丈に合っていると思っています。
偲古庵流とは
当庵の和本つくりは同じ手造りでも伝統技法に囚われずに身近な最新の道具を使ったりするので敢えて偲古庵流と言っています。
例えば糊や刷毛を使わずに「テープのり」を使います。
パソコンで編集しデジタルプリントした素紙での和本づくりに、新旧の長所を取合わせ、時代にあった方法を模索してきました。‘できるだけ多くのタイトルの和本複製を’という希望を優先したわけです。
稀書複製会の遺したもの
大正八年に始まった稀書複製会は、江戸時代とそれ以前の埋もれつつあった‘稀書’の多くを復刻、復刊しました。
その事業は、有志により十数年続けられましたが、その後の震災と戦災を考えると、大変な先見の明があったわけです。その偉業に比ぶべくもない、似て非なるものなのですが、当庵が目指す古典籍や絵草子の複製造りも、失われつつある物を形にして世に遺すという一点では共通していると思います。
国会図書館のデジタル・コレクションから画像を借用して複製和本を制作するだけのことであまり誉められたことではないですが、それでも液晶画面ではなく実際に手に取って鑑賞することに共感をいただけるのではと思います。
偲古庵(しこあん)編集版
例えば任意の複数の名筆による小倉百人一首の筆比べであったり、狂歌集に現代仮名づかいを付記したものなど当庵が多少でも編集しているコレクションを偲古庵編集版としています。また頭書、奥書や注釈などを省略も多くありますので予めご了解ください。
源氏物語を写本で親しむ
源氏物語の写本を素紙にデジタル印刷し綴じ本や折本に再現してみようと挑戦しています。
墨痕のなまなましい筆跡とまではいきませんが、時代を髣髴とさせる複製ができればとの思いです。他にも源氏物語がテーマの梗概書や絵草子など興味深いものが沢山あり、それ等も平行して製作すると尚更先行が覚束ない次第です。
何とか「空蝉」か「若紫」あたりまで行って後続とバトンタッチ出来ればと思っています。
百人一首のいろいろ
20年程前たまたま古本市で手に入れていた「姿百人一首小倉錦」(画工渓斎英泉・善次郎筆)の絵草子にはその後いろいろと教えられました。 文化文政の頃の板の再版でしたがその洒脱なくずし文字の筆運びに魅せられ、また教本としても大いに役立ってきました。その後のネット検索で知ったのですが、江戸時代における‘百人一首刊行物’の多種多彩さには驚くばかりです。もじり百人一首や異種百人一首などを含めれば何百種類もあった様で、その狂騒的までの普及ぶりは昨今の百人一首ブームの比ではなかったようで、当時の人々にとって源氏物語と百人一首は素養の源泉であり永遠の‘ベストセラー’であったのでしょう。その草書体の仮名文字を現代人が全く読めないとなると由々しきことで、小生も四十の手習いどころか七十の手習いで今もって挑戦しています。
古典かるたで親しむくずし字
難解な変体仮名くずし字を憶えるには「古典かるた」も良い方法と思います。そこでくずし字の「かるた」を探してみると、京都の老舗で光琳百人一首かるたの復刻版や源氏かるたが販売されており、またネットでも時折骨董扱いで出品されていますが、いずれも気軽に競技には使えないほど高価です。また「かるた」の種類も、江戸時代から明治時代にかけて「源氏かるた」がいろいろあって百人一首とともに人気を二分していたようです。 他にも古今集、新古今集や伊勢物語などのかるたが流布していたようです。 これ等の「古典かるた」はほとんど入手が困難ですが、幸いにも国文学資料館や各大学で共有オープンデータとして画像をネット公開しています。 多岐に亘るそれ等の画像を許される範囲でダウンロードし、編集、印刷をして復元を試みています。また友の会にてその「かるた」つくりの実技教室を開いています。将来は「古典かるた競技会」(くずし字読み会)を開ければと思っています。 江戸時代のかるたは“くずし字”ですから読み手になるだけでも勉強になり遊び方も拡がりましょう。またくずし字読解のための「卓上ミニかるた」も試作しています。
※当庵製作の「源氏かるた」を会員の方に実費でお分けしています。
六畳の展示室
当庵の複製和本類は六畳一間で展示、販売をしています。 都心から一時間以上かかる練馬の住宅街ですが、当庵の、他に類のない‘希少性’に照らしてご足労頂ければ幸いです。



プリント・オンデマンド和本版の試み
偲古庵流簡易印刷と和本で、古典や近現代書籍をより身近に
当庵の簡易印刷の特徴
各ページに編集を加えず(微調整のみ)ダウンロード即自動印刷となります。
また見開きまま印刷し、袋綴じ製本するためページの数字の位置が変るため
必要に応じて新しいナンバリングをします。




わら半紙印刷、タコ糸綴じ(下綴じ不要で合冊も容易)



糊ヅキのよい半紙、わら半紙の無線綴じは綴じ代が少ない分紙面が1~2割程大きくできます。
偲古庵(しこあん)の「友の会」と実技教室
「友の会」会員の皆様には、当庵の和綴じ・無線綴じ製本や「かるた」作りのノウハウを共有していただけます。
プリンター・スキャナや各種の卓上機器(裁断機やミニ電動ドリルなど)を使いながらご指導いたします。
和本はご持参のパソコンで「各自のテーマ」をレイアウト・編集、半紙印刷、裁断、糸綴じ、題箋貼りが一連の和綴じ製本工程です(無線綴じは糊付け)。
「かるた」作りは編集、カードボード印刷、裁断と言う流れです。
※入会の際に年会費の代わりに当庵の作品集から1万円分の購入をお願いしています。この作品集は、ここ数年当庵で作ってきた、主に和綴じの古典籍複製本です。編集に工夫した物、新仮名遣いを付けたものもあり、主題も源氏ものから、百人一首や枕絵まで様々です。内容の一部と作品リスト、価格表を参考下さい。
当庵の実習教室ではDTP(Desk Top Publishing )の一環として、持参されるパソコンを使用いただきます。
ご案内できるパソコン編集は、WindowsのOSで、主に国会図書館デジタルコレクションのPDF作成(自動印刷機能付き)の他に、Microsoftの写真印刷、officeのWordなどです。
最新ではなく恐縮ですが、Windows7以降のOSやMacintoshは未確認ですのでご了承ください。
民家の2階が当庵の教室でオープン・スケジュールの予約制です。
実技授業料
1日 6時間 5,000円
半日 3時間 2,500円
材料費は別途実費がかかります。
学生の方は割引いたしますのでご相談ください。

偲古庵作品集(和本複製)
源氏物語の写本から各種百人一首や歌麿,北斎の春画まで各種の和本複製を当庵会員の方にお分けしています。
一部折本や巻物も含まれています。
忠実な複製本から当庵編集の古典籍まで30数種類、1点物から多数冊部数までそれぞれです。
国会図書館デジタルコレクションからダウンロードされたものがほとんどですが春画など蔵書からの和紙に編集転載されたものも含まれます。
和本にて愛読され鑑賞され得るものの再現を少しずつ目指しています。
※ 冊子のサイズは当庵の目安です
大判:24x16(センチ) 中判:21x14 小判:18x13
※当庵の簡易本(簡易印刷簡易製本)は偲古庵コレクションには含まれていません。
ショップ情報
名称 | オールディーズ・ショップ 偲古庵(しこあん) |
代表 | 剣持 晋介 |
所在地 | 〒178-0061 東京都練馬区大泉学園町6-19-28 |
メール | お問合せフォームをご利用ください |